【アメリカ横断】ランカスター
RVの返却前日は、ランカスター(Lancaster)という街の近くのRVパークに泊まった。
その日の夜は、この旅で唯一雨が降った日。
翌日はいよいよRV返却。
みんなとRVで過ごす最後の夜は雷雨に見舞われた。笑
事件発生!!
前日、ヘイガーズタウン(Hagerstown)という街のRVパークに泊まり、ランカスターまでの道の途中にアウトレットパークがあるとのことなので寄ってみることにした。
アウトレットに向けて順調に車を走らせているとき、事件は起こった。
ドライバーはMくん。
Mくんは僕の高校時代の友人の大学の友人。今回の旅行で初めて出会った。
メンバーの中では比較的家が近いということもあり、行き帰りの飛行機は彼と一緒で唯一全行程を共に過ごした。
日本での運転経験は皆無である。
Mくんの特徴は、助手席によく座りたがる。そして、すぐ寝る。
そんなMくんが運転していると、後ろからパトランプを光らせた車がぴったり付いてきた。
そう、彼はスピード違反を犯していた。
日本でも捕まったことないのに・・・
慌てて路肩に車を止めると、パトカーからポリスメンが降りてきた。
窓を開けると、IDとドライバーライセンスの提示を求められる。
ビビりながら見せると
P『どこからきたの?』
と聞かれた。
一同「ジャパンです」
P『ジャパンからRVできたのかよ』
とポリスメンに笑われた。
P『どこへ行くの?』
一同「アウトレットモールです」
と、こんな感じで会話していると
P『スピード気をつけろよ』
と言葉を残し、ポリスメンは去って行った。
え?
これで終わり?罰金とかは???
と呆気にとられていると、後ろのパトカーは猛スピードで本線に消えてった。
どうやら我々のスピード違反は見逃してくれたっぽい。
日本人相手にするのがめんどくさかったのかなポリスメン。笑
そんなMくんの手は汗でビッショリになっていたらしい。
そりゃそうだ。すぐ横に銃を持ったアメリカのポリスメンがいるんだもん。
下手すれば撃たれることもあるかもしれない。
ネットの情報によると、アメリカの速度違反は日本よりも厳しく取り締まられるらしい。アメリカのハイウェイは州ごとに制限スピードが違うし、日本とは違い意味不明な速度制限ではなく相応であるイメージ。
先日、日本で東名高速の一部区間で最高速度が試験的に引き上げられた。その区間では、従来よりも速度取り締まりの基準が厳しくなるらしい。
これと同じように、相応の速度で走ることを認めているのだから、制限はちゃんと守れよ的な感じだと思う。
でも、実際制限速度をオーバーしている車はいっぱいいた。
やはり直線が長く車線が多いアメリカのハイウェイではスピードが出がちになってしまうのだろう。
そんな事件から始まった横断10日目。
皆既日食
この日は、アメリカのほぼ全域で部分日食、一部地域で皆既日食が見られる日だった。
自分たちはたまたまこの期間にアメリカを訪れたけど、日食目当てで来る人もいたらしい。ちょうど夏休みの時期と重なるため、RVの予約は例年よりも早い段階で売り切れてしまったらしい。
自分たちも、アウトレットで食事をしているときにちょうど日食が始まり、外に出て見ることができた。テレビでも全米からその様子を中継していた。
日食グラス(太陽を直視することはできないので、日食を見る用の濃いめのサングラ_ス)は持っていなかったが、周りに日食を見ている人はいっぱいいたので借りて見ることができた。
太陽の一部が隠れただけでも薄暗くなって、日差しも弱くなって少し涼しかったな。
裸眼で見ると普通のまん丸の太陽なのになんかちょっと薄暗いと言う変な感覚。
日食グラス越しの太陽。カメラ越しだと欠けてるのがわかりずらいけど、実際にはくっきり見える。
馬車が走る街
夜、雨が降るなか運転していると、前を馬車がゆっくり走っていた。
最初それを見たときは
「馬車のってるとかアメリカ自由すぎだろ…」
「撮影かなんかしてんのかな?」
「テーマパークみたいなのがあるとか?」
などと思ったくらい。
しかし、その時同乗者はみんな夢の中だったのでこの光景を共有できなかった。
何も知らずに来た自分には、理解できない光景だった。
その後も、ランカスターを走ってると様々な場所で何台か馬車を見かけた。
どうやらこの辺では馬車の文化が残ってるらしい。
そして、後日調べてみると、馬車に乗った彼らは「アーミッシュ」というらしい。
伝統的な生活を送る「アーミッシュ」
アーミッシュとは、”昔ながらの生活”を今もなお続けて生活している人々。
現在はアメリカのペンシルベニア州やカナダのオンタリオ州におよそ20万人がいるとされている。
彼らはキリスト教プロテスタントの一派であり、人類愛と絶対の平和主義を信条に、文明と虚飾を嫌っている宗教集団の一部。
”昔ながらの生活”とは、電気や自動車を使わず、自給自足の生活のことを言う。
彼らの住んでいる地域では電柱などは見られない。
また、現在でも移動手段は馬車で、普通に馬車が街を走っていた。
馬車にはヘッドライトとウインカーがついていて、現代に馴染んでいる。
法律的な問題でこれらの装置をつけないと公道を走れない。
服装も、映画で見るような昔ながらの色使いやスタイル。
女性はワンピース。
男性はシャツとズボン。
子供達も、大人と同じような格好をしている。
そして、男性も女性も帽子を被っている人が多い。
みんなシンプルな格好で、男性は大人になるとヒゲを伸ばす習わしがあってみんな同じような風貌だ。
Lancaster
ペンシルベニア州にある小さな町、Lancaster(ランカスター)。
これといって何もない街。かなり田舎だった。
とてものどかな風景がどこまでも広がっていた。なんか北海道みたいだなって印象が残ってる。
RVパーク。
このRVパークは、入り口にゲートがあって、インターホンで管理人にゲートを開けてもらわないと入れない。
このパターンは初めてだったのでめちゃくちゃ戸惑った。
コーン畑?の中を道が突っ切っている。
道もうねうね。
朝はガスってて、絵みたいないい感じの風景だった。
次の日はRV返却の日だったので、朝ちょっと早めに起きて約2週間お世話になったRVの掃除をした。
朝焼け。
ザ・アメリカって感じの風景。
朝焼けがとても綺麗だったのでちょっと散歩。
西の方とはまた違った田舎の風景。
何もない所だけど、ここの景色が意外と印象に残っている。
こんな感じのとこで暮らしてみたい・・・
アーミッシュから感じたこと
アーミッシュが住んでいる地域には、ジブリに出てきそうな、のどかな風景が広がっていた。
電線も一切なく、家も木造で手作りのものばかり。
車も滅多に走っていなくてどこまでも畑が広がっている。家畜があちこちにいて、動物の匂いもする。
家に灯るのは電球の光ではなく、ガスの温かな光。
そこには、タイムスリップをしたような、どこか懐かしい時間が流れていた。
日本では、現在このような昔ながらの文化は若人には受け継がれず、途絶えてしまうことが多い。進学を機に地方から都会へと人口が流出してしまい、地方の人口の高齢化、減少は歯止めが効かない状態である。
一方、伝統的な生活を守り続けているアーミッシュの人々は、教育は中等教育まで。16歳になると、18歳になるまで一度親のもとを離れて、アーミッシュの習わしから解放され、俗世で一般の人々と同じような生活を送る期間を過ごす。
このことを「ラムスプリンガ」といい、この時期にNYなどの都会に出たりお酒やタバコなどの様々な娯楽を経験する。
そしてその時に、このままアーミッシュとして暮らすか、俗世で暮らすかを自分の意思で選択することができる。
しかし、意外だがほとんどの人がそのままアーミッシュでの生活を選択するそうだ。
実際、アーミッシュの人口は増え続けているという。
アーミッシュの人たちは、必要最低限のものしか必要とせず、無駄な欲求を知らない。
教育が中等教育で終わってしまうのは、必要最低限な知識さえあれば、アーミッシュでの暮らしが不自由なく送れるから。
必要最低限のものさえあればいいという、彼らの価値観がアーミッシュ繁栄に繋がっているのかもしれない。
特色ある文化が根付いた日本の地方部は、昔からの風習が若い人へと継承され続け、独自の文化としてブラッシュアップされて、いわゆる「日本らしさ」が確立して来た。
しかし、現代はそれを受け継ぐ若人がいなくなってしまい、地方部の文化は絶滅しかけている。
最近では、限界集落と言う言葉も生まれ、都市部への一極集中が加速し、地方の過疎化が深刻な状況になっている。このまま一極集中が進んでしまうと、これまで築き上げられて来た「日本らしさ」が失われてしまい、"Japan"の文化が衰退してしまうことも考えられるだろう。
過疎化対策として、2012年に公開されたドラマ「遅咲きのひまわり」でその名が広まった『地域おこし協力隊』や、自治体が管理する住宅を格安で移住者に貸し出したり、いわゆる"Iターン"の受け入れに力を入れている自治体が近年見られる。
しかし、それでも一極集中の波には逆らうことができず、依然として人口の流出は止まらない。
アーミッシュの暮らしと、日本の田舎での暮らしを比較しても、文明が大きく生活に介入している日本の方がはるかに便利なのに、どうして、アーミッシュのように人口が増えないのだろうか。
大学の専攻の影響か、内容が偏ってしまった…
アーミッシュのことは、詳しくこのページに書いてある。